2021年の終わりに

2020年のコロナ禍の真っ只中、家で論文を読みながら執筆した総説は、予想のほか自分の考えをまとめてくれ、今年のALS研究に役立ちました。ALSの最大の特徴は、運動ニューロンが変性することですが、生体内の運動ニューロンを詳しく研究できるゼブラフィッシュの特徴は、独特の視点をもたらすことができるのは間違いないと感じます。われわれの研究でも、運動ニューロンという環境の特殊性、あるいは、運動ニューロンの中ならではのALS関連分子の振る舞いが明らかになってきています。来年は、ALSになりやすい細胞の環境について、研究をさらに深めることができればと思います。

今年の前半はオンラインセミナーで、いろいろな人に自分の研究を聞いてもらう機会に恵まれました。思いもよらない先生がディスプレイの向こう側にいて、リーチの広さはオンラインならではでした。後半には、対面のミーティングもあり、新しい知り合いも増えました。2022年も、出会いを大切にしたいと思います。先輩にいただいた、「周りで見てる人は見てくれている」という言葉を思い出させる出来事が多かったです。本当に感謝しかありません。

さて、年の瀬にとった一枚の写真です。ゼブラフィッシュの脊髄を覗いた一枚ですが、新しい窓(検出法)を作れば、新しい景色が見えてきます。その発見に心躍らせるとともに、私たちが目にすることができるのは、生物のほんの一面にすぎないことを痛感させられます。これを知らずに昨日までよくやってきたねぇ、という感じ。このような細胞が瞬間的に見せる表情を捉えて、病気の本質に迫るのは至難の業ですが、謙虚な気持ちを忘れずに、来年も問い続けたいと思います。

ゼブラフィッシュの脊髄(せきずい)

第5回せりか基金賞 授賞式

昨日は、第5回せりか基金賞の授賞式に参加しました。昨年に続いてオンラインでした。

様々な角度からのALS研究に取り組まれている6名の先生が受賞されました。おめでとうございます!

毎年、授賞式のあとには特別な気持ちになります。その想いを抱いて、今年も残りの時間を大切に研究を進めます。

そして、6年目も成功しますように。

第44回日本分子生物学会年会

第44回日本分子生物学会年会でポスターを発表しました。演題は、「TDP-43のプロテオスタシス異常は、運動ニューロンの細胞内ATP濃度を低下させ軸索伸長を阻害する」です。

エネルギー代謝という視点から、ALS病態を考える試みです。ポスター発表ならではの濃い議論ができました。たくさんの人に聴いていただくという意味ではオンラインにはかないませんが、深く議論をするという意味ではポスター発表は最適です。いくつかの議論は、良い共同研究に発展しそうです。