Blog

ひまわりとニューロン

ALSでは、神経細胞(ニューロン)の変性が、遺伝情報を含むDNAが収められている細胞体(さいぼうたい)から始まるのか?それとも、筋肉と接する軸索(じくさく)の先端から始まるのか?という議論があり、決着がついていません。ニューロンが変性し始める時期は、まだ患者さんが自覚できる症状はないので、今は、なかなか調べるのが難しいのです。

お世話になっている先生が、この問題を突き詰めて考えているときに、ある日、ひまわりをご覧になって、ひまわりが花から枯れるのか、根っこから枯れるのかを、じいーっと観察し続けたと言います。

昨日は、そんなエピソードを思い出しながら、絵を描いてみました。例えば、人間の脳の一次運動野という、運動を指令する領域には、ベッツ細胞(Betz cell)というとても大きな細胞があります。どのくらい大きいかというと、細胞体の直径が100ミクロンにも達するものがあり、直径20ミクロンの軸索を、脳から脊髄の腰レベルにまで伸ばしています。成人で、およそ1メートルになるでしょうか。この長く太い軸索は、筋肉を収縮させる運動ニューロンと接続しています。ベッツ細胞を、直径3センチのひまわりに例えるなら、軸索の長さは、なんと1.5キロにも達するのです!

このような細長い、大きな細胞を、一生にわたって維持するのは大変なことだと感じます。運動の度に、神経活動を繰り返し、消費したエネルギーを過不足なく補充しなくてはなりません。ALSでは、ベッツ細胞が変性しますが、それが何時、どのように始まるのか、謎です。

花から枯れるのか、根っこから枯れるのか。

ひまわりでは、この問題が解明されているのでしょうか、先生?

Perspective/ 研究の見通し

光遺伝学ALSモデルの論文発表のあと、依頼があったPerspectiveの寄稿のリバイスが終わりそうです。研究の将来について考える良い機会となりました。レビューアーの一人からのコメントがとても勉強になりました。これからは、多角的、特に、生物物理学的なアプローチが大切です。今回は、鉄壁のレビューアー#2ではなく、仏(ほとけ)のレビューアー#2ですね。

写真は、表紙用の作品を作っている様子。細胞の中がうまく表現できるといいのですが。それと。。採用されるといいのですが。

Better to light a candle than to curse the darkness (暗闇を呪うより、ロウソクを灯そう)

突然、これまでのような研究生活を送ることが難しくなってしまいました。難局が去った後の、新しい”ふつう”が何なのか、楽しみです。今は、過渡期で、実験ができない分、文章を書くとき。

今年発表した、ALSモデルの論文を受けて、そのまとめと、展望を”Perspective”として、投稿しました。まだまだ書きます。

写真は、石で表現しようとしたタンパク質の相転移。TDP-43(オレンジ)が形成する凝集体のうち、比較的均質な凝集体(左)に毒性があるのか?、それとも、不均質な凝集体か?、それとも両方?、はALS病態を考える上で、重要と思われます。表紙を狙おうとしましたが、石の写真が綺麗に撮影できなかったので、諦めました。

Better to light a single candle than to curse the darkness(暗闇を呪うより、ロウソクを灯そう)は、今にふさわしいQuoteです。Perspectiveのタイトルは、ここからいただきました。

執筆のとき

ラボ時間を8割カットするために、ラボワークは早朝の2時間、その後は家で執筆です。執筆に力が集中しすぎて、それはそれでパワーが要ります。このスタイルにも慣れていかないと。夕方は、気分転換に走ります。マスクをしているので、そんなに長く走れませんが、これまでは気づかなかった、いい景色にも出会えます。

夕ぐれの富士山