申請の息吹に充ちて 〜3〜

昨日は、公益財団法人内藤記念科学振興財団の2022年度科学振興賞・助成金の贈呈式に参加しました。

科学振興賞を受賞された柚崎先生の受賞講演を拝聴させていただき、感銘を受けました。

式に先立って、授賞式の資料に記されていた、財団の設立趣意書を熟読してしまいました。私が生まれる前の、昭和44年(1969年)の設立です。

欧米に比して近代科学の歴史が浅いとはいうものの、明治維新後100余年が過ぎた今日、科学研究の面においても、それを利用する産業界においても、日本にオリジナリティをもつ独創的な発明や発見が貧困で、底の浅さが強く指摘されている。

自然科学の基礎的研究の振興なくして、すぐれた応用科学品を産み出すことは、木によって魚を求めるにひとしいたとえのとおりであって。。

このように指摘することは、ある意味、容易いのかもしれませんが、50年以上も基礎研究に投資してくださっていることは、本当に尊いことだと感じ、感謝の念を持って帰路につきました。

私は、助成金をいただくことができました。DNA損傷とALSの関係について、基礎研究を進めたいと思います。

申請の息吹に充ちて 〜2〜

公益財団法人・光科学技術研究振興財団から、2年間の研究費のサポートを受け、ALSの研究に取り組みました。

先週は、第5回晝馬輝夫光科学賞、令和4年度研究助成金の贈呈式が浜松で開催されました。第5回晝馬輝夫光科学賞を受賞された、京都大学の谷口先生の素晴らしい受賞講演を拝聴しました。私は、令和2年度の研究助成の成果報告の講演をさせていただく機会に恵まれ、ALSの研究に携わっている先生方や、さまざまな諸先生方に多くのアドバイスを頂きました。研究をサポートしていただき、本当にありがとうございました。

さて、久々に対面でこのような会が開催され、式の後には、多くの先生方と直接お話しすることができました。財団に関わっておられる先生方が口々に語るのは、浜松ホトニクスの創始者である故・晝馬輝夫氏の「とにかくやってみる」という、やらまいか魂として語り継がれる研究開発に対する情熱でした。晝馬輝夫氏は、小柴先生や梶田先生のノーベル賞受賞になくてはならない存在だったことは述べる必要もないですが、こうして亡くなられてからもなお、多くの人を鼓舞する大きな力を目の当たりにした一日でした。

研究者は、論文を発表することにより、その成果を世界の誰とでも共有することができますが、科学の発展に、人と人を介したパッションの伝達が果たす役割はとても大きいと感じました。

申請の息吹に充ちて 〜1〜

研究課題「光遺伝学を用いた低複雑性ドメイン蛋白質の生体内凝集機構の解明」が、科研費学術変革領域研究(A)(公募)に採択されました!

青色光を吸収すると自己会合する光遺伝学型TDP-43(オプトTDP-43)は、通常条件下では細胞核に豊富にありますが、青色光を照射するだけで細胞質の濃度を増加させます(Asakawa 2020)。この興味深い振る舞いを生み出すTDP-43タンパク質の性質を研究します。TDP-43は、いくつかの機能ドメインが連なったタンパク質ですが、どのドメイン機能が細胞質への移行に関係しているのか、楽しみです。筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、TDP-43は細胞質で凝集するので、TDP-43が凝集に向かう初めの段階の仕組みを明らかにできればと思います。