
今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
今年は、光遺伝学TDP-43凝集を利用したALSモデルについてのプレプリントを発表しました。下は、今年のはじめに考えた、この論文のモデルの構想の落書き。このモデルは、すでに間違ってる部分がありますが、2020年には、どのぐらい正しいかさらに検証を進めたいと思います。
来年もよろしくお願いいたします。
今年も、せりか基金の授賞式に招待していただきました。今年の賞は、ALS治療法の開発と、運動ニューロンの脆弱性の謎に迫る意欲的な課題を提案された3名の先生に。
言葉にするのは難しいけれど、みんながさまざまな得意分野を持ち寄って、難病を克服する為に一つの方向に向かっていく力をもらえる式。
これまでに、私の課題も含めて8つのプロジェクトに助成がなされたことになり、せりか基金のモメンタムがぐんぐん上がっているのが、肌で感じられる。
来年は、式に参加できるのかわかりませんが、式までには、研究の成果は正式な論文として公表したいですが、それは既にどうでもよくて、研究をその先に。
結果が既に明らかに思える実験を要求され、実際に試したところ、自分の予想とは異なる結果
自然との対話は謙虚に
Leave no stone unturned.
という表現が好きで、研究で心がけます。
直訳すれば、ひっくり返していない石を残さない。つまりは、できることは全てやる、という意味。
私の好きな漫画「宇宙兄弟」で、医師で宇宙飛行士の伊東せりかさんは、重力のある地球上では変幻自在な構造をとるTDP-43と呼ばれるタンパク質を、無重力の国際宇宙ステーションで結晶化させるという難しいミッションに取り組みます。なかなかうまくいきませんが、最後の最後、ヤケクソと揶揄させながらもコニャックを加えて結晶化に成功します。
それで。宇宙兄弟のファンになって、このストーリーを読んでからは、
「Leave no stone unturned.」
「コニャックを入れ忘れていないかい?」
を半々ぐらいで使って、研究のツメが甘くならないよう、心を引き締めています。
昨日は、三島に戻る前に、原宿で「宇宙兄弟月見酒場」にお邪魔して、「せりかのコニャックカクテル 〜実験成功への軌跡〜」というカクテルを頂きました。スポイトで青いカクテルにコニャックをいれてからいただく、という宇宙兄弟ファンにはたまらない一杯。
私は、青い光を照射してTDP-43を凝集させるという技術の開発に取り組んでいるので、この意味でも、この青い「せりかカクテル」は特別な思い入れのある一杯。これは、漫画の宇宙兄弟をもとに、現実世界にできたALS研究を支援する「せりか基金」に支援していただいた研究テーマでもあります。せりかさんのように、研究がうまくいきますように。
昨年の3月14日、理論物理学者のスティーブン・ホーキング博士が76歳で息を引き取った。ホーキング博士は、筋肉を収縮させる役目を担う神経細胞(運動ニューロン)が変性することが原因で、全身の筋肉が衰えてしまう筋萎縮性側索硬化症(ALS)を長年患っていた。
私は、ゼブラフィッシュという熱帯魚を使ってALSの病気の状態を部分的に再現し、人間では直接調べ難いALSのメカニズムを明らかにすべく研究に取り組んでいる。そのためには、既存の知識では不十分で、運動ニューロンの未だ知られていない基本的な性質を広く深く理解することが欠かせない。
写真は、私が、運動ニューロンの基本的な性質を研究するために開発したゼブラフィッシュを使って撮影した写真。詳しくは割愛するが、この写真には、これまでに知られていない運動ニューロンの(驚きの)性質が写っている。記念すべき一枚。
この写真の被写体となる稚魚を産み出し続けてくれていたオス親(ファウンダー)が、昨年の3月14日に死んでしまった。
私が、ホーキング博士の訃報をネットのニュースで知ったのは、この亡くなった魚が使っていた水槽のラベルをノートに貼るために、フィッシュルームから実験机に戻った、まさにその時だった。
それ以来、この亡くなったオス親の生き残った子孫を、ホーキング・フィッシュと勝手に名付けて呼んでいる。ホーキング・フィッシュは、この一年、大活躍だった。
R.I.P.