2021年の終わりに

2020年のコロナ禍の真っ只中、家で論文を読みながら執筆した総説は、予想のほか自分の考えをまとめてくれ、今年のALS研究に役立ちました。ALSの最大の特徴は、運動ニューロンが変性することですが、生体内の運動ニューロンを詳しく研究できるゼブラフィッシュの特徴は、独特の視点をもたらすことができるのは間違いないと感じます。われわれの研究でも、運動ニューロンという環境の特殊性、あるいは、運動ニューロンの中ならではのALS関連分子の振る舞いが明らかになってきています。来年は、ALSになりやすい細胞の環境について、研究をさらに深めることができればと思います。

今年の前半はオンラインセミナーで、いろいろな人に自分の研究を聞いてもらう機会に恵まれました。思いもよらない先生がディスプレイの向こう側にいて、リーチの広さはオンラインならではでした。後半には、対面のミーティングもあり、新しい知り合いも増えました。2022年も、出会いを大切にしたいと思います。先輩にいただいた、「周りで見てる人は見てくれている」という言葉を思い出させる出来事が多かったです。本当に感謝しかありません。

さて、年の瀬にとった一枚の写真です。ゼブラフィッシュの脊髄を覗いた一枚ですが、新しい窓(検出法)を作れば、新しい景色が見えてきます。その発見に心躍らせるとともに、私たちが目にすることができるのは、生物のほんの一面にすぎないことを痛感させられます。これを知らずに昨日までよくやってきたねぇ、という感じ。このような細胞が瞬間的に見せる表情を捉えて、病気の本質に迫るのは至難の業ですが、謙虚な気持ちを忘れずに、来年も問い続けたいと思います。

ゼブラフィッシュの脊髄(せきずい)

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