こだまチェック

コロナウイルスで学会などへの出張が減って、スライドでの発表機会も例年より減少傾向です。それでも年末にかけて、オンラインでの発表の機会がいくつかあり、楽しみです。出張の時は、可能な限り新幹線こだまを利用して、スライドを整える習慣でしたが、オンラインではこの「こだまチェック」の時間無しでいきなり学会が始まるので、事前のチェックに気をつけなくてはなりません。

ガー・レイノルズ著「プレゼンテーションZENデザイン」という本を読んでから、スライド作りが改善されたと感じます。もう10年以上前の本ですが、情報量がどんどん増えていく現代にあっては、勉強になる点が、かえって増していると感じます。冒頭に、デザイナー思考のための14カ条というのがあり、全部ではなく、数個だけでもチェックする甲斐はあります。例えば、第5条、エゴを抑える。デザインの主役は自分ではなく使う人、という考えは、あれもこれも詰め込みたい、学会直前の自己中心的な頭に、ブレーキをかけてくれます。「使う人」とは、プレゼンの場合、聴衆を指します。

「こだまチェック」の時間が短い時は、各スライドがスクリーンに投影された時、最初に聴衆はどこを見るか、だけチェックします。この視線の誘導が上手に行っている(と自分が感じる)スライドは、わりと楽に話せます。例えば、最近iPadで描いたゴッホの星月夜(The Starry Night)の細胞版パロディー、The Stirry Cytoplasm「攪拌(かくはん)細胞質」(by G翻訳)。このスライドが現れたとしたら、視線は右上の月に集まりやすいでしょう。ポイントは、月が明るいこともあるのですが、それと同じぐらいか、それ以上に、月以外の色が暗いというのが重要です。これも、上述の本に書いてある、余白や背景の使い方につながると思います。また、必要以上に視線が行ったり来たりしないように、と想像することで、視線に留まらなそうなもの、あるいは、視線の動きを邪魔しそうなもの(読む必要がないのに派手な色でかいてある文字など)はどんどん削り、スライドは自然にシンプルな方向にいきます。

The Stirry Cytoplasm「攪拌(かくはん)細胞質」

さて、The Stirry Cytoplasmをいつか、一枚目のスライドに使ってみたいと思っています。この夜明け前の夜空を、細胞質にひしめく非膜系オルガネラととらえれば、月は病的なタンパク質・RNA凝集体です。1枚目のスライドは、演者の紹介の間などに、聴衆に長時間みてもらえる可能性があります。教科書的には、「これから始まるトークの最良のイントロとなる、最も効果的な一枚を据えるべき」、ですが、私は上手にできないので、数年前に共感を諦めました。今はとにかく、注意をひくものをよしとする考えです。その結果、現在は、魚に青い光を照射すると泳ぎ出す光遺伝学の動画を示します(下の動画)。これによってまず、光で動物の行動を操作できる、ということを感じていただきます。トークの後に、「あの光で魚が泳ぐやつはいいね」、と言いてくれる人が少なからずいて、この場合、たとえトークの内容が理解されていなくてもOKとします。失敗する可能性もありますが、The Stirry Cytoplasmは、ほとんどゴッホだけど、よく見ると細胞、ということで失笑してリラックスしていただければと思います。オンラインでは、失笑が聞こえないのが難点ですが。。

zebrafish optogenetics / ゼブラフィッシュ光遺伝学

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