逆から始める

熱帯魚ゼブラフィッシュは、生まれて間もない頃は、からだがほとんど透明なので、観察したい細胞を標識できれば、生きた魚のなかでその細胞の振る舞いを観察できます。

筋肉を収縮させる神経細胞(運動ニューロン)が変性する難病ALSに似た状態を魚の中で再現することができたので、次は、運動ニューロンの変性と同時進行でおこる周辺の細胞の変化を、直接観察してみよう、というプロジェクトに取り組んでいます。人間の体の中をのぞきこむのは難しいですが、ゼブラフィッシュを使えば病気が進行する様子を直接観察できるようになるはず、という期待があります。

生体内の細胞を標識する実験は、ゼブラフィッシュでは、ここ十年の知識の蓄積やリソースの整備で、ある程度成功が期待できる実験になったと言えるのではないでしょうか。

逆から始められる(成功を期待しながら計画が立てられる)実験。ほとんどが待ち時間の2ヶ月間の修正を多くて3回繰り返せば、6ヶ月後には必ずデータが得られる実験です。私は、この感覚で自信をもって取りかかれますが、ゼブラフィッシュに馴染みの浅い研究者や学生さんと一緒に取り組むときは、修正(失敗ではない)が重なり、何も得られない期間が半年に及ぶ可能性があり、コミュニケーションが大切です。

写真は、初めの2ヶ月は文献どおりの実験では標識が弱すぎることがわかりました。修正を加えて、次の2ヶ月後、ついに姿を現した細胞です。

宇宙兄弟の38巻でましたので、タイトルは、ケンジの一言「“逆”から始めてみましょう」から。

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